機動戦士ガンダムのデザインを生み出したアナログ思考

機動戦士ガンダムのデザインを生み出したアナログ思考
機動戦士ガンダムのデザインを生み出したアナログ思考

サカダチです。

僕はロボットアニメの「機動戦士ガンダム」が昔から大好きです。
こんな歳になった今でも大好きだし、これからも大好きでいるんだろうなぁと思います。
どうして好きなのかというとモビルスーツのデザインが好きなんです。
登場するモビルスーツ達のデザインはどれもかっこよくて見応えがありますよね。

わたくしサカダチなんですが職業として一応デザイナーをしています。
今はWebデザインとグラフィックデザインをしていますが、もともとプロダクトデザイナーだったんです。
デザインは社会人からの出戻りで学び直しました。
その前は高校・大学ともバリバリの機械屋、社会人では半導体の設計・開発をしていました。
経歴からわかるようにずっとメカオタクだし、デザイン気触れ(かぶれ)でもあるんです。
だから当然のごとくアニメに出てくるメカのデザインなんかは確実に大好物です。
そりゃもうモビルスーツなんかにはもう目がないわけです。

このブログでは「機動戦士ガンダム」に登場するモビルスーツたちに対する僕の思いを綴ろうと思うのですが…。
まず初めに絶対に触れておかねばならぬ本があります。
その本は大河原邦男著「メカニックデザイナーの仕事論」です。
メカニックデザインの先駆者、大河原邦男さんの仕事に対する思いが綴られたこの本は、様々なロボットたちがどのように生み出されてきたのかを知れる良本です。
もちろんガンダムの制作秘話なんかも載っているのでガンダム好きにはとても面白い本だと思います。
今回は「大河原邦男著:メカニックデザイナーの仕事論」の私的レビューを少し。



嘘のない「おもしろカッコいいぜ!」が心地よい

大河原さん曰くアニメのメカニックデザインは現実世界のデザインをするわけではないので、プロダクトデザイナーと同じことをしてはダメらしいです。
アニメのメカは物理的法則に則ったメカが登場する科学番組ではないので、メカたちにリアリティを強く求めすぎないことが重要で、とにかく「カッコいい」モノが一番なんだとか。
もちろんリアリティよりも遊び心を大切にしているが、それでも「嘘のないデザイン」を大河原さんは心がけられていると言うことです。
この辺りの塩梅が大河原さんがデザインするメカの心地よさなんだろうなぁと改めて思いました。
確かにリアリティ色の強いミリタリー調のロボットだと人間の想像の域を超えていかないわけでして。
見たことあるような知識を寄せ集めたロボットなんか実際問題アニメで出てきても全然面白くない。
しかしながら大河原さんの考えた「カッコいい」架空のロボットたちは、しっかりと「嘘がないデザイン」で考えられているからこそ「こ、こいつ。動くぞ!」ってピンときちゃう。
どこか浮世離れしているけれど心の中で錯覚を起こさせてくれるデザインに子供たちはまんまと心を掴まれてしまうんだろうなぁ。
で、掴まれちゃったまんま大人になったヤツがここにいるわけです。



パズルを解くことこそデザインの面白さ

でもやっぱり「カッコいい」デザインだけをしていては世の中成り立たないんだとか。
アニメの中で動くメカは作画をするアニメーターのこともしっかりと考えてあげないといけないんですって。
かっこよさを追求するあまりいろんなものを盛り込んでしまうと作画がめちゃくちゃ大変になって制作陣営から不平不満が出てきてしまう。
もちろん変形にしたってちゃんと説明ができないと作画もできないわけで。
さらにはオモチャ販売とも密接な関係があって、立体化の際にはさらにシビアになってくるんだとか。
アニメとオモチャのつじつまが合わないとダメ。
大河原さんのデザインは、アニメとオモチャの関係性を考慮してしっかりと考えられているとのことです。
「一本の線がいろんなところに影響が出てくる」
メカニックデザインは製作者全てに正しく伝達できるようシンプルに、いかに少ない要素でカッコよく仕上げる「省略の美学」なんだとか。
大河原さん曰く「アーティスト気質」ではメカニックデザインはできないと。

デザインはアートと違ってクライアントの要望やユーザーのニーズなど様々な制約が絡んでくるわけです。
アート作品のように好きに制作して「どうですか?素晴らしいでしょ!」とはいかないんですよね。
デザイナーはいろんなしがらみの中でパズルを解くようして最高のデザインを模索していかなければならない。
でもそのパズルが解けてピタッとハマった時に感覚って最高に気持ちいい楽しいんですよ!
この感覚がデザインをする面白さなんですよね。
僕もデザインの仕事をしているのでよくわかります。

最近ではコンピューター技術も進歩によっていろいろできてしまうから結構複雑で難儀なデザインが意外と簡単できてしまうけど。
でもやっぱり頭の中で紙の上でピタッとはまるようなデザインがやっぱり面白いし大切にしていきたいですね。
この本を読んで改めて思いました。

兆しのサカダチ

今回の兆し

どんなに技術が進歩しても思考はアナログで挑みたいですね!